介護

作業療法士が教える。高齢者の方に喜ばれる創作活動とは!

デイサービスのプログラムの中に「創作活動」があります。

おりがみで鶴を折るといった短時間でできる様な創作から、1週間もしくは半月くらいの長い時間をかけて行われる大掛かりな創作まであります。

物を作ることで、日常生活に生きがいを見つけ楽しむこと・日常生活に必要な動作を必然的に行うことが出来ます。

そうすると、高齢者の方の活動量と他者との交流が増加します。

指先・手・腕などを使うという作業活動を通して、心身のリハビリを行うこともできます。

心身のリハビリは、認知症予防やうつ病防止などにもつながります。

ここでは、創作活動をより一層楽しんでもらう為に、作業療法士が考える、高齢者の方に喜んでもらえる創作活動とは何なのかをご紹介します。

にわとり
にわとり
作業療法士が考えた、喜んでもらえる創作活動って何なのだろうか??

創作活動とは

いったい、「創作活動」とはどういったモノなのでしょうか!?

辞書で調べると「創作活動(読み方:そうさくかつどう)とは、新しいもの・創造的なものを生み出す活動。」とあります。

芸術家・音楽家が作品を作ることを想像するとわかりやすいです。

 

デイサービスにおいての創作活動プログラムでも、昔からの趣味や得意とすること、やってみようと思うこと、理由は様々ですが、作品を作っていらっしゃいます。

介護士は、高齢者の方一人一人の身体的・精神的・能力的に合った創作活動プログラムを提供することが望ましいです。

創作活動がもたらす効果

実は、創作活動に取り組むことで高齢者の方にもたらされる効果は沢山あります。

高齢者施設において、集団で特定の活動に取り組み、その効果を検証した報告も存在します。

たとえば園芸活動などを行って、高齢者の方にどのような効果をもたらしたのか調査している文献があります。

高齢者施設で園芸活動を1年間試みた結果、認知症の程度に関わらず、参加者全員に精神面での改善の傾向が示されたと報告されています。

創作活動に取り組むことで、下記の効果が期待されます。

創作活動の効果
  1. 活動自体への関心が高まり、集中力が向上する
  2. 周囲の高齢者の方へ関心が持て、仲間意識が生れる
  3. 会話が生れる
  4. 自分の役割を認識し、責任感が生れる
  5. 季節感を感じるようになる
  6. 日常生活の活性化につながる

創作活動を通して、心身機能の向上・喜びといった気分の向上・他者とのつながりなどが得られます。

日常的な作業に自覚はないかもしれませんが、筋力や精密な動きなどの身体機能、集中力や判断などの心理機能を総合的に活用しています。

このため、創作活動に取り組んでいるうちに、自然に心身両面のリハビリになります。

作業療法の観点から見た、創作活動の効果

脳疾患からの回復や認知症の予防には「塗り絵など指先を使用した訓練が効果的」という考えが近年リハビリ業界でも注目されています。

人間の腕先は体面積の10分の1程度ですが、特に指先は「つかむ」「握る」「つまむ」などといった体のほかの部位とは違い細やかな動きや作業をすることが多く、生活に欠く事が出来ない動きをするが特徴です。

体を動かすためには脳の前頭葉にある「運動野」という部位が関係しており、手先のような細かな筋肉を連携させるための運動野は大きく、大腿部などの大きな筋肉を動かすための運動野は比較的コンパクトになっています。

そのため指先を使うことは、脳の血流を増大させ活性化に大きな役割を果たすと考えられています。

また、運動野がある「前頭葉」自体は思考や理性にも関係しているため、日常生活を送る上での感情のコントロールにも好影響を及ぼしやすく、脳疾患や認知症によるリハビリには指先に注目を置いた作業が効率的とされています。

創作活動の種類

創作活動で行われる内容は多岐にわたります。その大部分は手先や指先を使うものです。

脳に関する研究は、近年盛んに行われています。

指先を動かして使うと脳を刺激して活性化させる効果があると言われ、特に人気があり、取り入れられている内容です。

物作り

物作りは、指先を動かすことにプラスして「達成感が得られる」という効果があります。

定番は、針と糸を使った小物手芸や簡単な裁縫、ハサミやノリなどを使った工作、混ぜたりこねたりする料理やお菓子作りなど。

出来上がった作品は施設内に飾ることもできますし、家族にプレゼントするという利用法もあります。

手作りしたお菓子を囲んでのおやつタイムは、和みのひとときの演出にもぴったりです。

折り紙

日本の伝統文化ともいわれる折り紙は、細かく指先を動かすことのできる作業です。

身近なもので、取り組みやすい点もポイント。

季節に合わせた作品を作り、室内装飾に利用できます。

塗り絵

塗り絵は、指や手を動かすだけでなく、形を認識する、配色を考えて色鉛筆を選ぶ際に脳を使うレクリエーションです。

絵を描くのは難しくても、塗り絵なら大丈夫でしょう。

思いのままに楽しむことができます。

指を使った体操や遊び

座ったままできて、道具を必要としないのが、指を使った体操や遊びです。

両手をパーの形に開いて号令に合わせて1本1本指を曲げたり、曲げるスピードを速くしたり、イレギュラーな動きを取り入れたりと、変化をつけると良いでしょう。

「おせんべやけたかな」「ずいずいずっころばし」「お寺の和尚さん」といった言葉や歌を交えた手遊びもおすすめです。

創作活動を喜んでもらうための6つのポイント

デイサービスで行われている創作活動では、高齢者の方にたくさんの効果をもたらします。

しかし、ただ漠然と創作活動を提供するだけでは、高齢者の方は楽しくもないし、得られる効果も激減します。

創作活動を行う上で、高齢者の方が楽しみ・喜んでもらえるために、介護士が注意する6つのポイントをお話しします。

1.作業をおしつけない

高齢者の方の意欲を最優先し、決しておしつけをしてはいけません。

もしかしたら、明確な拒否ではなく少しためらっているだけの可能性もあります。

この場合、介護士や周囲の方が作業をしているのを、興味深く見ていたり、途中から自発的に参加されたりすることがあります。

2.なじみの作業でも注意して誘う

「ずっとやってきた」「仕事でやったことだから」といっても、高齢者の方が拒否をされることがあります。

今までできていたことだからこそ、できなくなったことを直視するのが恐ろしいのかもしれません。

プライドをもって仕事に取り組んできたからこそ、簡単にやってと言われることで、心無い発言のように感じられたのかもしれません。

過去に行っていたものでも、やはり無理強いは禁物です。

3.適度な難易度の作業を提供する

作業が難しすぎれば、怒りや悲しみを感じ、やる気をなくします。

簡単すぎても、飽きてしまい、馬鹿にされているようにも感じます。

少し頑張ればできる、ちょうどよい難易度が大切です。

 

そのためにはご本人の能力を丁寧に見極め、気づかれずに手伝い、あらかじめ難しいところはこちらで行っておく工夫もあるでしょう。

4.過剰に効果を期待しない

どんな作業も、認知症そのものを治療する効果は立証されていません。

個人差もあり、常に心身が改善していくとは限りません。

また、症状の進行に伴い、できていたものができなくなることもあるでしょう。

 

認知症の人にとっての創作活動は、作業を通して尊厳を取り戻し、安心や充足感を感じることが主な目的です。

5.疲労に注意する

高齢者の方は、脳が疲れやすいのです。

ご本人がどれだけ楽しんでいたとしても、脳の疲労がたまれば集中力が欠け、できていたものができなくなり、失望や苛立ちを感じやすくなります。

その疲労がとれずに、一時的に認知機能が低下し、夜間まで長引くとせん妄状態にもなりかねません。

 

適度に休憩を入れ、無理のない時間で切り上げる工夫が必要です。

6.専門職と連携・相談をする

可能なら作業療法士、その他の専門職、利用している医療や介護サービス事業所にご相談しましょう。

高齢者の方の状態にあった、専門的で適切なアドバイスをもらえる場合があります。

高齢者の方に喜ばれる創作活動とは!まとめ

作業療法士が考える「創作活動」に大切な考えを話させていただきました。

「創作活動」を行うことは、高齢者の方に多くの効果をもたらします。

 

しかし、誰かから強制されてやらされているという思いを持ったままでは、いい影響を与えていることにはなりません。

高齢者の方自身が、やっていて楽しいと思えることがとても大切です。

 

「創作活動」の内容も大切ですが、楽しいと思える「創作活動」にする為には介護士の心配りは不可欠になります。