介護

レクリエーションの達人が教える。「介護レクリエーション」の基礎知識

ひよこちゃん
ひよこちゃん
レクリエーションってよく聞くけど一体何なのだろう?

デイサービス(通所介護)には、様々なプログラムがある中で、基本中の基本である

「レクリエーション」についてお話ししたいと思います。

介護分野でのレクリエーションとは何か?」「レクリエーションのメリットとは何か?」

「レクリエーションで大切なことは何か?」といったことを理解するきっかけになれば

良いなと思います。

介護レクリエーションとは何か?

一般的に「レクリエーション」とは、余暇・自由時間の中で休養・娯楽・気晴らしと

いった心身をリフレッシュさせる時間の使い方を意味します。

趣味を楽しんだり、スポーツで心地よい汗を流すことでストレスを解消し、

心を豊かにする。他者との交流を深め人間関係を良くするという意味で使われます。

介護分野においての「レクリエーション」も同じ意味合いです。

高齢者の方に、楽しみを持ってもらい、心が安らぎ、気分が晴れ、元気になってもらう

時間を提供するということを意味します。

介護レクリエーションの目的

高齢者の方は、加齢により心身機能が低下しています。心身機能が低下すると身体を

動かそうという、やる気が起きません。身体を動かさなくなると、ますます骨や関節の

機能低下を招きます。

 

レクリエーションに参加することで、楽しんで身体を動かすことができます。

また、楽しむということが日常生活に充実感を生みだします。

身体だけでなく、心も弱りがちな高齢者の方にとっては、レクリエーションを

通じて人の輪の中に入り、交流の機会を持つことで他者との繋がりを体験でき、

心身の活性化・生きる活力の向上を図ることができます。

介護レクリエーションの種類

身体を動かすことを目的にした、集団レクリエーション

日常生活において、身体を動かすことが減少している高齢者の方に楽しみながら

身体を動かすことができるレクリエーションはとても重要になります。

 

日中、適度に身体を動かすことで食欲が湧き、入眠がスムーズになり昼夜逆転の防止

になり、生活リズムを整えることができます。

無理のない範囲で身体を動かせるレクリエーションは、ぜひとも取り入れて下さい。

 

ゲーム的な要素を取り入れていくことで、他者との競争心や他者との連帯感を

感じることができるので、楽しみを持って、自発的に身体を動かすことができます。

 

主に頭を使うことを目的とした、脳筋トレレクリエーション

頭を使ったレクリエーションは高齢者の方の脳の働きを活性化させます。

「考える」「挑戦する」「判断する」という行動が、普段使わない脳の分野を使う

ため、血流が良くなり、血液や酸素が隅々まで行き届くので脳が活性化します。

 

簡単な計算やひっかけ問題、ことわざや漢字、都道府県名など高齢者の方に馴染み

のある言葉を使ったゲームや問題を解くといったレクリエーションが主に行われています。

 

伝言ゲームや連想ゲームなども頭を使うトレーニングには最適です。

気分の安らぎを目的とした、レクリエーション

高齢者の方は、心身が衰えていくことへの不安や他者との人間関係、家族と離れた孤独感

などの、ストレスを日々抱えて生活されています。

不安や孤独感といったストレスを緩和し、気分をリラックスさせ、日常生活をより

楽しく過ごし、より良い生活になる為のレクリエーションです。

 

これは、決められた時間にすることではありません。

入浴中に音楽を流したり、食事中に懐かしい映像を流したり、笑い話に花を咲かせる

といった、日々の生活の中で高齢者の方が心地よく感じる時間を増やすことです。

介護レクリエーションがもたらすメリットとは何か?

介護レクリエーションを行うことで、高齢者の方は様々なメリットを得ます。

身体・脳・心の健康に良い影響を与えるからです。

良い影響とは、身体・脳・心が元気になるということです。具体的にお話します。

身体機能の向上

身体の健康を維持する効果もレクリエーションにあります。高齢者の方であろうが、若者で

あろうが、全く身体を動かさなければ筋肉は衰え続けます。

レクリエーションは、日常生活基本動作(立つ・座る・歩く・体を起こす・食事をする・

排泄する・入浴する・整容する)に必要な身体の動きを楽しみの中で増強することが目標

ですので、集団レクリエーションで行われるゲームを通して、身体機能向上を図ります。

 

脳機能の向上

身体機能だけでなく、レクリエーションでは脳機能の向上にも効果的です。

普段、意識して考えていないことを考える機会になります。高齢者の方の興味関心にも

よりますが「考えてみる」という思いが集中力を生み、脳の注意力と処理能力を高めます

 

注意力と脳の処理能力が高まると、高齢者の方が自身の行動に注意が向きます。

歩く時に転ばない様に注意しよう。と言った考える習慣がつく為、転倒事故が激減します。

認知症高齢者の方の進行を緩やかにする効果もあるんです。

心の平穏

他者との協力・他者との競争といった他者との関わりの中で、笑ったり・喜んだり・

悔しがったりといった感情が生れます。感情が揺れ動くことで充実感を得ることが

出来ます。

充実感を得ることで自分の存在意義が見つかり、日々の生活が元気になります。

レクリエーションを通し「楽しさ」や自・他との「競い」、集団での「歓声」「喝采」など

の「心地よさ」を得ることで、脳の前頭葉が活性化し身体機能が向上したことで、日常生活

範囲の拡大や動作内容の幅が広がった。という論文が日本理学療法学術大会において発表

されました。

介護レクリエーションで大切なこととは何か?

全員楽しませなければいけない。という考えをすてる

「楽しい」とは、人それぞれ違います。

年代・男性・女性・産れた場所・環境・人生の歩み方、全てにおいて違うので当然です。

「今」この場で「楽しい」を感じられない方でも、いずれ「楽しい」「うれしい」といった

喜びに変化するという確率は圧倒的に高いです。

「この場にいる全員を満足させてやろう。」という考えを捨てて、

ターゲットを絞り込んで「今日はこの人に楽しんでもらおう」という考えを持つことで、

その人を集中的に楽しませることができるので、満足度が上がります

福祉の世界は、公平性を重視するので「何十人もいるのに一人だけでは不公平だ。」と

思われがちですが、毎日人を変え「今日はこの人に楽しんでもらおう」とすることで、

全員の満足度を公平に上げることが出来ます。

常に新しいものを生み出す

毎日行うレクリエーションでは、何をしたらよいのだろうかと悩みます。

すると、考えることが億劫になります。考えることを止めると手を抜いてしまいます。

「前にやったことでいいや」「適当でいいや」となるのです。

介護レクリエーションの使命は「安心・安楽」を高齢者の方に感じてもらう事です。

 

高齢者の方に心から楽しいと思ってもらう為には、常に新しいモノを生みだしていく

必要があります。ネットや本にあるアイデアや知識を今、自分が持っている知識やアイデア

にプラスするだけで全く新しいものが生れます。高齢者の方は真新しいものを見ること

に飢えていますので、とても楽しいし、嬉しいのです。

企画力と表現力

企画力とは、レクリエーションの流れを作る能力です。

何をどの様にするのか?目的は何か?何を準備するのか?

つまり、レクリエーションの設計図を作ることです。

 

表現力とは、高齢者の方に楽しんでもらい、満足してもらう能力です。

レクリエーションの内容を分かりやすく説明する話術。司会進行力。高齢者の方の笑いを

誘うトーク力を駆使して身振り手振りで楽しさを表現することです。

高齢者の方の「変化」を知る

高齢者の方は、加齢に伴い身体に変化が起こります。

変化を知ることで、高齢者の方に最適なレクリエーションとは何かを考える

判断材料になるからです。

高齢者の方に起こる身体の変化として、

  1. 細胞数の減少(脳機能・内臓機能の低下)
  2. 感覚機能の低下(視力・聴力などの低下)
  3. 骨や筋肉・関節の変化(動きにくい、痛む、しびれる、骨がもろくなる)
  4. 精神性の低下(気分の落ち込み、自信喪失、他者への羨み、自暴自棄)

高齢者の方の身体の変化を無視したレクリエーションは、全く楽しんでもらえません。

レクリエーションへ参加しやすい環境を作る

レクリエーションは強制的に参加するものではありません。

高齢者の方が、楽しんでこそ身体と脳と心が元気になるのです。

楽しんで、レクリエーションに参加したくなる配慮が必要になります。

高齢者の方がレクリエーションに意欲的に取り組めるための工夫を紹介します。

介護レクリエーションに参加したくなる10個の工夫

レクリエーションで得られる効果を説明する

レクリエーションを行うことで、身体にどの様に良い影響が得られるのかを

わかりやすく説明します。

「脳に刺激を与えることで、物忘れが改善されます。」

「足のここの筋肉を使い鍛えることで、歩きやすくなります。」

などといった説明をすることで、高齢者の方がレクリエーションに参加すること

に意味を見出してくれます。レクリエーションを行う意味が分かれば、意欲的に

参加して下さいます。

高齢者の方に役割を持ってもらう

ゲーム形式で対抗戦などを行う場合に、チームリーダーになってもらい一言話してもらう。

ゲームスタートの合図を出してもらう。

他の高齢者の方にやり方を指導(例えば講師など)をしてもらう。

という様に、レクリエーションの中で自分の役割を認識することで、

やる気を起こして下さる高齢者の方はたくさんいらっしゃいます。

誰の為に行うのかを明確にする

創作活動レクリエーションなどは、「誰の為に物を作るのか」が明確になると、

やる気・創作意欲が格段に上がります。

例えば、

「この壁面(貼り絵やちぎり絵など)を完成させて、近所の保育園の入園式で

子ども達にプレゼントしませんか?」

という声掛けを行うと、子ども達の喜ぶ姿を想像されます。「やりたい」となるのです。

意欲的に、しかも創作に集中され、良いモノを作りたいと思われます。

人の役に立ちたい。人に喜ばれたい。という欲求が生れるからです。

愛着を持ってもらう

レクリエーションを行う準備段階から高齢者の方に関わってもらうのです。

例えば、

レクリエーションで使う道具を一緒に作る。

行事を盛り上げるための、室内レイアウトを作ってもらう。

レクリエーションを行う為に道具を一緒に準備してもらう。

などの様なことをして頂くと、「自分も関わったんだ」という気持ちになります。

自分が関わりを持ったと思えるレクリエーションには愛着が湧きます。

競争心を刺激する

チーム対抗戦などのゲーム方式を取り入れることで、高齢者の方の競争心が煽られ

ゲーム自体を楽しむことができます。

「勝った喜び」「負けた悔しさ」「他者と協力して何かをする達成感」

などを感じて頂くとレクリエーションが楽しいと思え参加したくなるのです。

日常生活動作と関連をつける

日常生活基本動作とは、

立つ・座る・歩く・体を起こす・食事をする・排泄する・入浴する・整容するという

日常生活を行う上で基本になる身体の動作です。

「レクリエーションで行われる運動は、日常生活に必要な動作を鍛える為です。」

と伝えることで、運動をすることで生活が楽になるのだと理解することができ、

運動に意欲的に取り組もうとされます。

発表する場を作る

発表会や展示会などといった「作品を他者に見てもらう場」を作ることで

高齢者の方のやる気・意欲が向上されます。

中・長期の目標として設定しやすく、なにより「作った物を評価される」という

体験をされることができるので、とても効果的です。

お気に入りの介護士(スタッフ)を巻き込む

お気に入りの女性介護士や信頼のおけるスタッフに声をかけられることで

うれしい気持ちや「あなたに言われるなら参加しましょう」という気持ちになります。

快くレクリエーションに参加して下さいます。

信頼のあるモノの力を借りる

「このレクリエーションはNHKで取り上げられたモノなんですよ」

「お医者さんが考案された、歩くことを目的としたゲームなんですよ」

 

という様に、高齢者の方が絶対的に信頼をおけるモノの名前を借りることで

「それならば、やる価値があるかも」と感じて参加していただけます。

レクリエーションのタイトルの名前を工夫する

レクリエーションを行う前に、行うゲームの名前を工夫します。

少し笑えるようなものにすると良いでしょう。

今から楽しいことが起こるかもしれないという期待を持って頂けます。

 

「介護レクリエーション」の基礎知識まとめ

デイサービスにおいて重要なプログラムである「レクリエーション」の基礎知識

について説明しました。

「ただ単に遊ぶだけでしょ?」と思われがちな、介護レクリエーションですが、

様々な目的があります。

「楽しい・うれしい」といった刺激を得ることで身体的・精神的に良い影響を得られます。

レクリエーションの方法ややり方といった知識もとても大切です。

やり方・知識を学ぶだけでなく、「レクリエーションを行う目的は何か」を明確にして

高齢者の方一人一人に寄り添ったレクリエーションを実践できれば高齢者の方に常に

満足して頂けます。